ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

子どもの噛みつきには「自分を見て欲しい」というシグナルであることがあるという話

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子どもの噛みつきは保護者へのシグナルである場合がある!?

 


こんにちは。どいつよしです。

 
 
乳幼児期によく問題としてあがってくるものに噛みつきがあります。
 
 
言葉が未発達なために、お友達と喧嘩になったりした時に噛み付いてしまうということが多いのですが、今回は子どもによってはそうでないケースがあることを紹介したいと思います。
 
 
喧嘩ではない噛みつきの中に、タイトルにも書いた、「自分を見て欲しい」というシグナルである場合があります。
 
 
これを保護者が見誤ると、どんなに「噛みつくことはいけないことだ」と注意したり、諭したところで、おさまる方向にはなかなか向かいません。
 
 
子どもは、「自分を見て欲しい、もっと関わって欲しい、愛して欲しい」から意図的に噛みついているので、その声なき声に気づいて、保護者側が接し方を変えないといけません。
 
 
僕が乳児院で働いている時に経験したことをもとに架空事例を紹介します。
 
 

架空事例

Aくんという男の子がいました。よく噛みつく子で、ほぼ毎日保育日誌に名前が登場し、職員みんなは、かなり気を張って彼と他の子が遊ぶのを見守っていました。
 
 
僕は、Aくんが噛みつきで有名になってしばらくしてから関わるようになったのですが、彼の様子を観察していると、噛みつく時のパターンが大きく分けて3つあることがわかりました。
 
 
1つ目は喧嘩をした時、2つ目は彼が遊んでいるテリトリーにお友達が踏み込んできた時、そして3つ目はAくんを担当している職員さんがAくんの意に反して離れて行ってしまった時。
 
 
3つ目のパターンがあることを知ったのは、担当さんがAくんのそばを事情があって離れざるを得なくなった時のことです。
 
 
Aくんの意に反して担当さんが離れたとたん、彼はわざわざ自分の近くにいたお友達にところに泣きながら走っていき、お友達の腕にガブッと噛みついたのです。
 
 
僕もそばにいたのですが、その時はAくんがそういう行動をするとは予想もしておらず、対応が遅れてしまいました。
 
 
噛みつかれたお友達はギャーっと泣きます。僕と担当さんが二人のもとに駆け寄ります。担当さんはAくんに「お友達を噛んだらダメでしょ!」と強めの声で注意しました。
 
 
それからも、何度か同じようなことが繰り返され、Aくんが担当さんの気を引くために噛みつくことが、Aくんのコミュニケーションパターンとして確立されていることがわかりました。
 
 
その後、Aくんに関わる職員さん達で、Aくんが乳児院にやってきた経緯なども踏まえて、どのように接していくようにするのかを話し合いました。
 
 
そして、担当さんがAくんのそばを離れる時はひと声かけること、Aくんが納得しない時は他の職員さんがフォローすること、もし噛みついた時には注意するよりもAくんの気持ちに寄り添うことを先にすることなど、丁寧にAくんに接していく中で3つ目の噛みつきパターンは徐々に減っていきました。
 
 

アドラー心理学で説明できる

Aくんのような「自分を見て欲しい」というシグナルで噛みつくというのは、アドラー心理学の目的論にぴったりあてはまります。
 
 
『岸見一郎 著 アドラー心理学入門』には、こう書かれてあります。
 
 
子どもの不適切な行動に対して、親や教師は叱ったり罰したりして止めさせようとします。ところが多くの場合、子どもたちは一時的にそのような行動を止めることがあっても、またすぐに同じことを繰り返します。
 
このように行動を止めないのは、子どもが親や教師から注目を引き出そうとしているからであり、注目を引くことを目的として行動している子どもに注意をするというような注目の仕方をすれば当然その行動を止めるどころか続けることになります。

 

 
これをAくんに戻すと、担当さんが離れる→お友達に噛みつく→担当さんが戻ってきて注意する という流れです。
 
 
Aくんからすれば、たとえ担当さんから注意されようが、担当さんから注目される目的が達成されるわけです。
 
 
もし、Aくんの3つ目の噛みつきのパターンについて、僕たちが注意をすることを繰り返していたら、ますます噛みつきはおさまることはなかったのではと思います。
 
 

保護者が行動を変えることで改善する

先に書いたように、Aくんの噛みつきは、保護者である僕たち職員が行動を変えたことによって改善へと向かいました。
 
 
アドラー心理学でも、保護者が行動を変えることを勧めていて、以下のような行動をとることがよいとされています。
 
 
  • 罰しない
  • 子どもを負かしてはいけない
  • 適切な行動に注目する
  • ほめるのではなく勇気づけをする
  • 「存在」への勇気づけ
 
 
4つ目の「ほめるのではなく勇気づけをする」はなかなか判断が難しいのですが、Aくんへの接し方にはそれ以外の「罰しない」「子どもを負かさない」「適切な行動に注目する」「存在への勇気づけ」の要素がしっかり含まれていたと思います。
 
 

子どもの噛みつきに悩んだら

もし、子どもの噛みつきの問題に直面した時は、以下のことを参考にして頂ければと思います。
 
 
  • 子どもの噛みつきの理由はひとつではない
  • 噛みつきまでどのような過程があったのかを観察し、それに適した対応をしていくことが必要である。
  • 「自分を見て欲しい」というシグナルの噛みつきに対しては、注意をするのではなく、そこに至るまでの大人の行動を変えていく必要がある。
  • 大人の行動の変え方についてはアドラー心理学が役に立つ。
 
 
アドラー心理学の子育て本はたくさん出ていますので、一度書店や図書館で目を通されて、自分に合うものを選んでみるのが一番よいと思います。
 
 
ちなみに僕が参考にしたのは、以下の3冊です。
 
 
勇気づけの方法 (アドラー心理学を語る4)

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アドラー式「しない」子育て (コドモエBOOKS)

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アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

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