ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

乳児期の関わり方が共感力の発達に影響することについて

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
 
 
3歳までのスキンシップは、赤ちゃんが心の土台をしっかり築くためには大切な時期であり、それによって「私には生きる価値がある」「私は愛されている」という自信を得ることができるということでした。
 
 
実は、心の発達だけではなく、脳の発達に関しても3歳までの関わり方が大事だということがわかってきているんです。
 
 
その理由は、
 
 

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共感力に影響を与えるといわれる脳細胞ミラーニューロンをちょうどよい数に残せるかどうかが3歳までで決まる
 
 
ということだからです。
 
 
※ミラーニューロンっていきなり言われても、そもそもそれって何?って感じだと思いますので、あとで説明しますね。
 
 
これがうまくできないとどうなるか。
 
 
  • 対話が不得意。
  • 他人のしていることがとっさにわからない。
  • やるべきことを見い出せない。
  • 言われないとできない。
  • 見様見真似でできない。
  • 目分量ができない。
  • 相手の感情がわからない。
 
 
などといった不具合を生じます。
 
 
このことを教えてくれたのは、人工知能AIの研究者で、『妻のトリセツ』など脳の仕組みからみたコミュニケーションに関する著書も多い、黒川伊保子さん。
 
 
今回は、黒川さんの著書と関連文献で学んだミラーニューロンの機能と、それを発達させるために乳児期の子育てで大切なことをシェアしていきたいと思います。
 
 
 

ミラーニューロンとは?

では、まずはお待ちかね、ミラーニューロンについて。
 
 
ミラーニューロンとは、鏡の脳細胞と呼ばれる神経細胞のことです。
 
 
目の前の人の動作を見て、まるで自分が同じ行動をとっているかのように鏡のような反応をすることから名付けれました。
 
 
そして、他人がしていることを見て、我がことのように感じる共感能力を司っていると考えられています。
 
 
目の前の人が満面の笑みを浮かべれば、ついついつられて微笑んでしまう。あれは、ミラーニューロン効果だそうです。
 
 
ミラーニューロンはまだまだ研究が続けられているものではありますが、
 
 
【ミラーニューロンが「ことば」と「世界」を創る】
 
 
と言われるほど、人間が生きていくにあたって大切な、以下のような機能があると考えられています。
 
 
ことばの獲得
赤ちゃんは、「目の前の人の筋肉運動」を脳に写しとることによって、ことばの単位を身につけていくことがわかっています。
 
 
ことばの単位とは、大きい順に、文章・段落・文・文節・単語のことです。
 
 
赤ちゃんを抱いた時、赤ちゃんのほうを向いて、「ママよ」「ママと行こうね」などと声をかけますよね。
 
 
(「パパなのだ〜」「バアバでしゅよ〜」「ジイジやで〜」も同じ)
 
 
その時、赤ちゃんには、「ママ」と発音した時の筋肉運動(口腔周辺と横隔膜の筋肉)と身体に起こる音響振動、息の圧が与えられています。
 
 
赤ちゃんは、それらをミラーニューロンで写しとって、「ママ」ということばの認識のフレーム(枠)を作り始めるのだそうです。
 
 
そのプロセスがあって、当たり前のように自分の母親に向かって「ママ」と呼べるようになっていくわけなんですね。
 
 
所作の獲得
赤ちゃんに「バイバイ」と手をふると、同じように振り返してきますよね。
 
 
これを、目で見たままに真似をすると、自分の側に手のひらを向けてバイバイすることになりませんか?
 
 
そうではなく、ちゃんと手のひらを相手に向けてバイバイができるのは、ミラーニューロンによって相手の全身の筋肉運動を、自分の神経系に写しとっているということなのだそうです。
 
 
鏡を見ながらダンスの練習ができるのも、ミラーニューロンがうまく機能しているからなのですね。
 
 
他者の意図を理解する
挨拶をされたら返す、問いかけられたら答える、上司の背中を見て学ぶ、上司の話に頷きながら聴くメモを取りながら聴くなど、非言語的なものも合わせて、
 
 
他者がどのような意図を持って自分に関わってきているのか、どのような意図を持って行動をしているのかを理解するのにも、ミラーニューロンが影響していると言われています。
 
 
他者の気持ちに共感する
目の前で友達が泣いていた場合、その悲しみに共感して声をかけてあげたり、そっと背中をさすってあげたりするなど、相手の事情や気持ちを理解する。
 
 
みんなと同時に笑って写真に納まる、スポーツバーでラグビーワールドカップの日本代表の勝利をその日初めて会った人と喜びあえる。
 
 
また、自分の気持ちがわかる。言葉などで表現できる。
 
 
というようなことにもミラーニューロンが影響していると言われています。
 
 
目の前の様々な事象から自分に必要なものだけを切り出す
目に映る風景から「母親」を切り出して、「母親」を認識する。雑踏音の中から自分の名前を聞き分けて、反応する。
 
 
といった「自分に必要な存在」をうまく認知するためにもミラーニューロンがうまく機能する必要があります。
 
 
「周囲と共鳴して、口腔表現をしたい(つまりコミュニケーションをとりたい)」という欲求を起こしたり、ちょうどよい明るさ、ちょうどよい音量、心地よい皮膚感覚の獲得にも影響があると言われています。
 
 
ちなみに、自閉症の子どもは、上に挙げたような事柄がうまくできないということから、生まれつきミラーニューロンがうまく機能していないのではと考える研究者もいます。
 
 
 

ミラーニューロンは3歳までの体験がものをいう

人間は生まれ落ちた瞬間に人生最多のニューロン(脳を構成する神経細胞)を擁しています。
 
 
そして、3歳までにその数を減らして、脳の活性具合を調整していきます。使うものと使わないものを剪定していくということです。
 
 
ミラーニューロンも同じで、使うものと使わないものに剪定されていくとのこと。
 
 
「このミラーニューロンは残さないといけない」ということを脳に刷り込ませるために必要なのが、3歳までの保護者との体験なのだそうです。

 
のぞましい体験としては、
 
 
  • 「いないいないばぁ」であやして笑わす
  • 「ちょーちちょーち、あわわ」などの手遊び
  • アイコンタクトをして語りかけながらの授乳
  • アイコンタクトをして語りかけながらのスキンシップ
  • 赤ちゃんの喃語に音程を合わせて対話する。
 
 
などがあります。
 
 
「ちょちちょあわわ」はこちらを見ていただくとわかりやすいです。↓↓
 
 
 
 
 
「赤ちゃんの喃語に音程を合わせて対話する」というのは、
 
 
赤ちゃんが高い音程で「ば〜」と言えば、同じ高さで「ば〜なのね〜」と応えてやり、
 
 
低い音程で「ぶ〜」と言えば、同じ低さで「ぶ〜よねぇ」と言ってやることです。
 
 
授乳時間はミラーニューロンが最も有効に使われる時間
この中で、黒川さんが最も重要視しているのが、
 
 
「アイコンタクトをして語りかけながらの授乳」。
 
 
その理由は、ミラーニューロンが最も有効に使われる時間だから。
 
 
黒川さんは以下のように書かれています。
 
 
授乳中、赤ちゃんの口角周辺の筋肉は、三次元的に微細に動いている。このため、お母さんの表情筋を読み取って、自分の表情筋に伝えやすいのである。
 
 
ミラーニューロンが最も有効に使われる時間と言っても過言ではない。
 
 
その授乳中、お母さんが赤ちゃんに意識を集中し、目を合わせたり、微笑んだり、話しかけたりすることが、ことばとコミュニケーションの認識フレームを作り出す、共感力の要となる。
 
 
これは、ミルクを哺乳瓶で与える場合にも同じ。したがって母親以外に授乳する人にもこれはあてはまる。
 
 
『共感障害「話が通じない」の正体』より

 

 
うーむ、授乳時間の関わりがどれだけ大事なのかが、よくわかります。
 
 
僕は乳児院で働いている時に「赤ちゃんにミルクを飲ませるときは、赤ちゃんの顔を見て優しく語りかけてあげてね」と教わりましたが、脳科学的にも意味があったということにもなります。
 
 
また、これは母親以外の育児に参加する人(施設職員や保育園の先生含む)みんなに知っていてもらいたい内容でもありますね。
 
 
授乳時間のながらスマホは控える
逆に、授乳中にそっぽを向いていると、この絶好の機会を逃してしまうことになります。
 
 
例えば、スマホを見ながら授乳する。
 
 
これ、最近増えているそうです。
 
 
ミラーニューロンが最も有効に使われる時間に、そっぽを向いていると必要な体験が得られません。
 
 
そして、そのミラーニューロンは「必要ないもの」ということで、消えていってしまうことになります。
 
 
ミラーニューロンが消えていってしまうとどうなるか。
 
 
はじめに書いたミラーニューロンの機能が働かないので、共感力に欠け、コミュニケーションに支障をきたすことになってくるということになります。
 
 
授乳時間は、スマホではなくて赤ちゃんを見ることが、赤ちゃんの未来にとっても、とても大事だということですね。
 
 
育児中にスマホを使うことでの影響については、僕と同じはてなブロガーの志田恵さんがとてもわかりやすい記事を書かれていますので、ぜひ、そちらも読んでみてください。
 
 
 
 
ちなみに、ミラーニューロンがちょうどよい状態になり、うまく機能していけば、幼児期には他者の気持ちが分かりだし、泣いている子どもをじっと見たりすることや、反射ではなく、貰い泣きをすることできてくるのだそうです。
 
 
さらに、幼児期後期には、他者がこれからやろうとしていることまで予期できるようになっているのだそうです。
 
 
 

おわりに

今回は「乳児期の関わり方が共感力の発達に影響してくる」というこで、僕が学んで理解したことを書きました。
 
 
共感力を司るミラーニューロンという脳細胞の存在が、私たちの生活に大きく影響を及ぼしていることを知り、そして、それは3歳までに決まってしまうということで、脳科学的にも、「三つ子の魂百まで」はあてはまるんだなという思いを強くしました。
 
 
僕がこうやって、言葉を操ってブログが書けるのも、産業カウンセラーとして相手の話を共感的に聴けるのも、乳児期の両親の関わりのおかげでミラーニューロンがうまく機能しているからなんだと思うと、感謝の気持ちがわいてきます。
 
 
一方、育児中にスマホを使うことについては、ワンオペ育児を強いられている人、シングルマザー、シングルファーザーの育児の負担を減らせる手段だという専門家もいます。
 
 
僕は、育児疲れで病んでしまって、子どもを預けざるを得なかった親御さんを見てきています。だから、全面的にスマホを禁止するということに賛成することはできないところはありますが、使い方には気をつける必要はあると思っています。
 
 
育児中のスマホとの付き合い方については、心理学の世界ではお馴染みの諸富祥彦さんが、「あらかじめ使う時間を決める」ということを提唱されています。
 
 
ぜひ、こちらの記事もご覧いただきたいです。
 
 
 

参考にした本と記事

共感障害 :「話が通じない」の正体

共感障害 :「話が通じない」の正体

 

  

ミラーニューロン - Wikipedia