ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

【傾聴力アップ】受容、共感、自己一致は技法ではなく態度だということを学んできた

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こんにちは。どいつよしです。
 
H29年1月に『傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング』という本を出されていて、ロジャーズの理論についても詳しい、関西大学大学院教授の池見陽先生の講座に参加してきました。
池見先生は、『フォーカシング指向心理療法』のジェンドリンの門下生。

ジェンドリンはロジャーズとともに心理療法の研究を行なっていて、ロジャーズの来談者中心療法に新しいアプローチを最初にもたらした人です。

また、「傾聴はすべてのコミュニケーションにとって必要である」「ロジャーズ以上に傾聴を大切にしている」と言うくらい、傾聴について研究をされてきた人です。

ジェンドリンのもとで学んで来られた池見先生は、ロジャーズにも大変ゆかりのある先生なんですね。
この講座では、前半はロジャーズ→ジェンドリン→池見先生と続く傾聴についての研究のお話し、後半は、ジェンドリンが提唱した体験的応答を取り入れた傾聴のロールプレイを体験しました。
今日は、その講座の中で、産業カウンセラーの資格を取ってからもいまだに疑問であった、心理療法における中核3条件「受容・共感・自己一致」について、一気に理解が進んだことを書こうと思います。

ちなみに、心理療法における中核3条件は、「ロジャーズの3条件」とも言われます。このブログでは、できるだけわかりやすい表現を使いたいので、今後は「ロジャーズの3条件」と表記することにします。

「ロジャーズの3条件」とは?

そもそも、「ロジャーズの3条件」とは何なのでしょうか?

ロジャーズは、人の人格や性格は、人間関係の中で育っていくものだと考えていました。だから、性格が変化することも人間関係の中でしか起こらないと考えたのでした。

そこで、どんな人間関係が性格の変化に良い影響を与えるのかと、自身の心理療法の経験から[仮説として]6つの条件を提示しました。これが、1957年にロジャーズが発表した「人格変化の必要にして十分な条件」です。

その後、研究者によって、3つの条件が、心理療法の成功と関連があることが実証されます。それが、「受容・共感・自己一致」というわけです。

ちなみに、ロジャーズはカウンセリングという特殊な人間関係のみならず、その条件を満たした人間関係がそこにあれば、人はより自分らしく生き、成長すると考えていたのだそうです。

「ロジャーズの3条件」は実践が難しい!?

産業カウンセラー養成講座の中でも何度も出てくる「受容・共感・自己一致」。わかっているようで、実践しようとすると、これがなかなか難しい。

「こういう感じかな?・・・特に実技指導者からも指摘されなかったし、合っているんだろう。でも、ほんとに大丈夫なのかな。。。」という感じで養成講座を終了し、試験に合格してしまいました。

その頃の僕は、「受容・共感・自己一致」を技法だと思っていました。

だから、「これが受容だ!」「これが共感だ!」「これが自己一致だ!」という技としての完成形があるんだと思って、それを目指していたところもありました。

でも、ベテランのカウンセラーのデモを観ても、みんな違う。一体どれが正解なのか余計にわからない。そして、自分の聴き方に対して不安ばかりが募る。そんな状況にありました。

「ロジャーズの3条件」は技法ではない!?

講座で池見先生がお話されたのは、「ロジャーズは技法ではなく姿勢や態度を伝えようとした」ということでした。

すなわち、「受容・共感・自己一致」は姿勢や態度のことであるということなんですね。これは、いまだによく誤解されるのだそうです。

また、池見先生は、柔道における「闘争心」や「集中力」というものが、「受容・共感・自己一致」と同じような意味合いになると言われました。

これは、

<柔道においては闘争心で敵を倒すことはできない。それは、闘争心が技ではないからだ。闘争心があって、技が決まることで勝てる。

それと同じように、「受容・共感・自己一致」で人の性格は変化することはできない。中核3条件の上に成り立つ関わり合いがあって、変化が起きる。>

ということだと理解しました。

ロジャーズの考えに当てはめると、

<「受容・共感・自己一致」という姿勢や態度がある人間関係の中では、人は成長も変化もできる>

ということになりますね。


池見先生のお話しにより、僕が追いかけていた、「これが受容だ!」「これが共感だ!」「これが自己一致だ!」という技としての完成形というのは、そもそもそういう技は無いということがわかりました。

今一度、産業カウンセラー養成講座のテキストを開いてみると、

一致(自己一致)、無条件の肯定的配慮(受容)、共感的理解(共感)がセラピスト(カウンセラー)の態度条件であり、セラピー関係の構築にとって不可欠な人間的態度であると考えられる

とありました。なんと、テキストにもしっかり【態度】と書いてあるではないですか!

大事なところを見落としていたことが恥ずかしいです。

おわりに

いかがでしたが?

ロジャーズは、「受容、共感、自己一致」を技法ではなく姿勢や態度として、提示していたわけなんですね。

産業カウンセラー養成講座では「繰り返し」「要約」「効果的な質問」などの技法を学びますが、こちらが技法。

「受容、共感、自己一致」という姿勢や態度がある上での関わり合いの中でこれらの技法を使うことで、良いカウンセリングができるということになるのだと思います。

「受容、共感、自己一致」が技法ではないということがわかって良かったですが、大切なものには変わりないので、忘れることのないようにしていきたいと思います。


池見陽先生の本

このブログの参考文献にもさせて頂いている、2冊を紹介します。

 

『心のメッセージを聴く』は、ロジャーズの3条件を「カウンセリング・マインド」という表現で説明していて、普段の生活レベルへの活かし方も書かれています。ロジャーズの来談者中心療法についてもたくさん書かれています。

 

一方で、『傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング』はロジャーズの理論についての誤解を解く内容が書かれていたり、来談者中心療法以外の療法についても、池見先生が解説をされています。

そして、その上で、来談者中心療法のアップデート版ともいえる、フォーカシング指向心理療法について、事例を交えて書かれています。


ロジャーズをきちんと理解した上で、ジェンドリンを知ることができる、一石二鳥以上のお得な本でもあります。

ぜひ、手にとって読んでみてくださいね!

 

心のメッセ-ジを聴く (講談社現代新書)

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傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

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