ココロの皮むき

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【傾聴力アップ】心理カウンセラーの「共感的理解」について理解し、実践していくヒントを学んできた話

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こんにちは。どいつよしです。


突然ですが、大ヒットしている映画『ボヘミアン・ラプソディ』はもう観られましたか?


音楽が好きな僕にはたまらない素晴らしい作品で、特に映画のハイライト、旧ウェンブリー・スタジアムでのクイーン復活のパフォーマンスのシーンは本当に圧巻でした。


そして、あのシーンで僕は、映画館ならではの迫力の映像とサウンドも手伝って、あたかも、僕があのステージに立っているかのような感覚になりました。
 

大観衆の期待を受けてのステージ、身体から沸き起こるエネルギー、頭の中を駆け巡るアドレナリン、、、そして、歌う『ボヘミアン・ラプソディー』
 

今思い出しても気持ちがたかぶり、鳥肌が立ちます。
 

おそらく、僕と同じように、あのシーンで「フレディ・マーキュリーになっていた」人はたくさんいたと思います。
 

「フレディになっていた」とはいっても、フレディ自身になることは不可能
ですよね。
 

だから、厳密には「フレディが体験していることを、あたかも、自分が体験しているかのように感じていた」ということになります。
 

このように、人は、映画やテレビドラマを観ている時、主人公が体験している世界を、あたかも自分がそこにいて体験しているかのような感覚になる時があります。


実は、このような「あたかも自分の体験であるかのように実感する心の動き」のことを心理学の用語で共感的理解と言うんですよね。


共感的理解は、カール・ロジャーズが提唱した、カウンセリングの成功と関係があるとされる3つの条件[受容・共感・自己一致]のひとつ。


このロジャーズの3条件について、 H28年1月に参加した、傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本という本の著者でロジャーズの理論についても詳しい、関西大学大学院教授の池見陽先生の講座で学んできたことと、池見先生の著書から学んだことを織り交ぜて書いてきています。

【傾聴力アップ】心理カウンセラーの「自己一致」について理解し、実践していくヒントを学んできた



今回は、いよいよ最終回(?)「共感的理解」について、書いていきます。
 

共感的理解とは?

そもそも、共感的理解の「共感」とはどういうことで、「理解」とは何を理解することなのでしょうか。
 

共感とは?

池見先生によれば、ロジャーズは、第三者的な冷めた目で見るのではなく、クライエントの体験を「あたかも」自分が体験しているように感じ取ることを「共感」と表現したのだそうです。


例えば、困っている人を目の前にしたとき、「あたかも」自分自身もその状況にいて、その人の困っている具合が手に取るようにわかる・・・そんな体験のことを「共感」というのだそうです。


池見先生も共感について、「相手の立場にたって物事を見る」という意味である。すなわち、クライエントの目を通して世界を見てみることである。と述べられています。


また、英語では
「他人の靴を履いてみる」と説明されているとのことです。


この説明は面白いですね。実際にやってみると、体験的に「共感ってこういうことか!」となりそうですね。

何を理解するの?

次に、共感的理解の「理解」とは、何を理解することなのでしょうか。


先述したロジャーズの表現を使うなら、クライエントの体験となります。


クライエントの体験というのは、行動の裏にある気持ち感じていること言葉にならない感覚などのこと。


クライエントが体験していることを理解するためには、「相手の立場に立って物事を見る」(共感)ということが必要になってきます。だから、「共感的理解」という言葉になるのですね。


逆の言い方にすると、共感的理解とは、相手の立場に立って、クライエントが体験していることを理解しようとすること。ということになります。


池見先生によると、もしも私自身がこの立場にいたら、どんなことを体験するだろうかと、「あたかも」その人であるように世界を体験してみると、その人の内側から感じられた世界が見えてくるのだそうです。


クライエントの感じている具合が手に取るようにわかる体験
、とも言われています。


この「クライエントの感じている具合が手に取るようにわかる」体験に至るまで、まだまだ精進していかないといけませんね。

わかっただけで終わらない!

さらに、共感的理解は、「理解しようとすることにより、わかった。」で終わりではありません。


わかったことを、クライエントに伝えないといけないのです。


実は、ロジャーズは後に共感的理解について、

カウンセラーが正確にクライエントの体験している気持ちや個人的な意味合いを感じ取り、その理解をクライエントに伝えることである。


と言っています。


「個人的な意味合い」とは、 クライエントが本当は伝えようとしていたこと


カウンセラーは、これを理解して、クライエントが伝えきれていない意味合いを言葉にして伝えることが求められるというわけです。


ここで一気に難易度が上がってしまったように感じるのは僕だけでしょうか。

実践はわかりやすい!?

しかし、ロジャーズは、「共感は複雑な概念であるが、それを完全に理解可能な方法で現在の都市に住む若者に伝えることができる」と言っているのです。


その方法というのが、ロジャーズとともに来談者中心療法について研究をしていた、ジェンドリンの『リスニングの手引き』にある絶対傾聴なのだそうです。


ジェンドリンの絶対傾聴については、また機会を改めて書くようにしたいと思いますが、共感的理解の実践がわかりやすくできるようになるというだけでも嬉しいものです。

なぜ共感的理解が必要なのか?

僕のフォーカシング=カウンセリング:ひとときの生を言い表す』を参考に書いていきますね。


ロジャーズは、人と人が話をして、「あなたが考えていることがわかったよ」「こちらこそ、聴いてもらって、わかってもらえた気がするよ」という「わかり合う関係」があるからこそ、人間は成長していき、


成長を通して、自分を新しく理解できたり、悩みが解消されたり、自分の進むべき方向性が見えてきたりする
と考えていました。


また、カウンセリングにおいて効果的なのは、「カウンセラーが考えたことや、することではなく、クライエントとカウンセラーの関係そのものである」とも考えていたそうです。


だからカウンセラーとクライエントが「わかり合う関係」になるためには、「共感的理解」が必要になってくる、ということになるわけなんですね。
 

共感的理解を実践していくには?

では、共感的理解を実践していくにはどうすればいいのでしょうか。


先ほど出てきたジェンドリンの絶対傾聴以外で考えてみましょう。


まず、共感的理解を実践していく前提として、

・「かけ離れた観点」から聞くこと

・話し手の問題点、弱点や矛盾を見つけ出そうとする聞き方

・相手に意見を押し付けようとする聞き方 

・「5W1H」を使った聞き方


共感的理解ではないということを知っておくことが大事です。※5W1H」を使った聞き方は、情報収集の上では有効ではありますが、共感的理解とは言えません。


上に挙げた聞き方をしないように意識することから始めることが、共感的理解の実践につながっていきそうですね。


次に、話しを聴く時に、自他を混同しない(「あたかも・・・」を失わない)ようにすること。


クライエントが体験していることが、手に取るようにわかったとしても、「あたかも」という性質を失ってしまうと、どちらが話し手なのかわからなくなってしまうので、注意しなければならないそうです。


これに関連して、僕が考えてやっている、写真や絵画を見て、あたかもその中の登場人物になってみて、その人の内側を想像して紙に書いていく、という遊びがあるのですが、「あたかもその人であるかのように体験する」ことと、「あたかもを失わない」ことを鍛えるトレーニングになるのではないかと思います。
 

おわりに

いかがでしたか?


今回は、ロジャーズの3条件より「共感的理解」について学んだことを書きました。


冒頭部分で、映画を観ている時に「あたかもその登場人物になったかのように体験した」ことを書きましたが、


日常生活において、共感的理解に通じる体験を、僕たちは意識せずともしているということが言えます。


でも、これが人相手になると難しいんですよね。どうしても、解決策を提案したり、評価をしてしまったりしてしまう。


能動的に共感的理解を実践するということの難しさ、感じることがよくあります。


ただ、ロジャーズが言っているように、ジェンドリンの「リスニングの手引き」に共感的理解を実践することの方法(絶対傾聴)があるということなので、そちらも参考にしながら、できるようになっていきたいものです。


そういえば、先日お亡くなりになった、女優の市原悦子さんはスポーツ観戦を好まれていたそうです。
 

「選手の心理状態が手に取るようにわかり、その心の揺れ動きがまるでドラマのようで面白い」とおっしゃっていました。
 

これって、まさに共感的理解ですよね。


共感的理解でもって、スポーツ観戦をする。一度試してみると面白いかもしれないですね。

池見先生の講座はこちらでチェック!

池見先生の公式ホームページです。最新の開催講座が随時UPされています。ぜひ一度、池見先生のお話を生で体験してみてくださいね!

Akira Ikemi, Ph.D. 池見 陽

 

引用・参考文献

今回のブログで参考にしている池見先生の著書です。3冊を紹介します。
 


心のメッセ-ジを聴く 』は、ロジャーズの3条件を「カウンセリング・マインド」という表現で説明していて、普段の生活レベルへの活かし方も書かれています。


ロジャーズの来談者中心療法についても、3条件をはじめ、たくさん書かれていますし、3条件の実践方法も書かれていて、すぐに実践へ移行しやすいものになっています。

心のメッセ-ジを聴く (講談社現代新書)

心のメッセ-ジを聴く (講談社現代新書)

 

 

一方で、『傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本』はロジャーズの理論についての誤解を解く内容が書かれていたり、来談者中心療法以外の療法についても、池見先生が解説をされています。


そして、その上で、来談者中心療法のアップデート版ともいえる、フォーカシング指向心理療法について、事例を交えて書かれています。



ロジャーズをきちんと理解した上で、ジェンドリンを知ることができる、一石二鳥以上のお得な本でもあります。

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

 

 

僕のフォーカシング=カウンセリング:ひとときの生を言い表す』は、池見先生のフォーカシング指向心理療法について、日本のある場所で行ったフォーカシングワークショップでの出来事が書かれてあります。


体験ワークごとに、池見先生による詳しい解説があり、池見先生のフォーカシングはこういうものなんだ、という理解がすすむ本です。


先に挙げた2冊と比べて、ロジャーズについての記載は少ないですが、表現方法はいちばんやさしいのではないかと思います。


ぜひ、手にとって読んでみてくださいね!

僕のフォーカシング=カウンセリング:ひとときの生を言い表す

僕のフォーカシング=カウンセリング:ひとときの生を言い表す

 

 

合わせてどうぞ!

www.kokoronokawamuki.com